今回はマンションを設計する際のポイントを整理しておきます。
1.立地について
・立地については、主に住宅密集地、商業地域、オフィス街等条件により様々です。用途としては、集合住宅となり、工業専用地域以外の用途地域で建設が可能です。
・住宅地に計画する場合は、日影規制に注意するのはもちろんですが、既存住宅へ日影が落ちる場合は事前に説明が 必要と思います。(条例で必要となる場合がほとんどですが。)
・道路斜線や隣地斜線、北側斜線にも注意が必要です。
2.建物の規模、構造
・規模については、容積率、建蔽率、道路斜線、隣地斜線、日影規制等により決定されます。まずは最大限のボリュームで検討を行い、駐車台数や工事費、収益性を考慮したボリュームとする必要があります。
・構造については、鉄筋コンクリート造が一般的です。コストや工期を考慮して鉄骨造とする場合もありますが、振動等に配慮する必要があります。
3.マンションの種類について
・マンションについては、主に以下の種類があります。
分譲マンション(高齢者専用含む)、賃貸マンション、高齢者専用賃貸マンション等
・分譲マンションは永住するために購入される場合が多く、仕様も高めに設定しておく必要があります。特に壁や床の遮音性、断熱性能等に配慮が必要です。バリアフリーとしておくことは当然ですが、将来の改修に備えて手すりの補強等入れておくとよいでしょう。フラット35等購入する際の融資を受けるための技術基準(断熱構造や遮音構造、住宅規模等)が定められている場合があるので調べておく必要があります。駐車台数については、立地条件にもよりますが戸数の100%以上確保する必要があります。
・賃貸マンションは、一時的な住居として賃貸される場合が多く、標準的な仕様としていれば問題はないでしょう。駐車場は戸数の100%は必要ありません。立地条件によりますが50%以上は必要と思われます。
・高齢者専用賃貸住宅は文字通り高齢者のための賃貸住宅です。補助金が出る場合があるので、関係機関との調整が必要です。バリアフリーとすることは必須ですが補助金取得のための基準があるので、関係機関と協議が必要となります。
4.工事費について
・工事費については、基本設計時におおよその金額を把握するために概算金額を算出します。実施設計で図面ができた段階で施工業者へ見積もりを算出していただきます。通常は3社程度確認して一番安い業者を決定していきます。
・マンションの工事費は構造や仕様、その時の時代により左右されますが、近年上昇傾向にあります。参考に直近の㎡単価を載せておきます。
マンション(分譲、賃貸) 全国平均28万円/坪(23~33万円/坪)
5.収益性について
・マンションの計画をする上で重要なことが収益性です。収益性を見て工事費をできるだけ早く回収する必要があります。例えば利回り(年間家賃収入÷物件購入費×100)が10%であれば、単純に10年で回収できる計算となりますがが、実際は税金や管理費等が掛かり、5%前後の利回りが多いようです。
6.まとめ
今回はマンションの設計のポイントについて紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
人生の中でマンションを建てることはほとんどないと思いますが、マンションの投資や経営を考えておられる方に参考になれば幸いです。上記以外でも設計のポイントや注意点は沢山ありますので、お気軽にご相談いたければと思います。